In brugge

伊東豊雄さんのブルージュパビリオンを見にブリュージュへ。
わたしがベルギーで建築を学んでいるというと、大使館員さんや大学の教授陣たちは必ず伊東さん!との伊東さんの名前がまっさきにでるので。

ブルッフ広場の真ん中にありました。



この場所にはもともとこの街の始まりであるローマ時代のカテドラルの礎石がありました。通り抜けること以外に機能がないパビリオン。内部空間は箱型屋根・壁に木の葉がへたりとついたように、蜂の巣状のアルミ構造に丸いアルミ板が溶接されています。紅葉の時期に公園の木々をぬけていくようでした。ハチの巣からこぼれるひかりと、丸板の影との重ね合わせがとてもきれいでした。
この街に合わせるようなものではなくて、まったく対立するようなものをもち込むことによって、この街を活性化させていこうとしたのらしいです。





ブリュージュは保存建築が多い街です。街の景観を守るのはよいことですが、建築家側の批判もあります。例ではブルージュのコンサートホール。これは国際コンペになり、ピーターアイゼンマンやロッテルダムの建築事務所が出展し争ったらしいのですが、審査の末結果的には街に調和した赤れんがファサードの建物に決定しました。ベルギーではなかなか自由な現代建築をたてることは難しい現状らしいです。これは実際にインターンなどで事務所内をみてみないとわかりませんが。
http://www.archguide.com/AG_noframe.asp?contents=http%3A//www.archguide.com/AG_Article.asp%3Fsection%3Darticle%26code%3D4%26year%3D2000






住宅のルーバー(?)も赤れんが。こういった煉瓦の使い方はめずらしい。これまでみたことがありません。なんのメリットがあるのだろうか。景観上以外の理由が思いつかない。





ブリュージュらしさ。
小さな運河が街全体をくるんでいます。


住宅街を散歩。
ときどき玄関をひらいたおうちもあって。いい住宅が多いです。生活を楽しんでいる様子がわかります。
イケメンみっけた。




街のはずれ、運河沿い、東側にはwind millがあり、のどかな風景が。ランドスケープと椅子があればそれでいい。




集合住宅。
一帯が同じ煉瓦の色で統一され、現代版ベギンホフのよう。
プランはわからないが、ひとつとして同じ棟はない。メゾネット式とみた。共同の中庭は住宅の外壁に囲まれている。7件か8件ごとに共同庭と、棟には3件分(?)の共同屋上テラスがある。


道と中庭との取り込み方が絶妙で、私有の中庭でありながら、住民以外も中に入りやすい空間に。




ベギンホフ。かつてはベギン会と呼ばれる人々が暮らした集合住宅の建物を指す。中世、結婚できない女性が修道女となり、世俗を離れつつもそれほど制限の少ない生活を送れるよう結束したコミュニティ。戦などの理由で男性の人口が減少し、かつ階級の差などもあり、適正な伴侶がみつけにくかったといわれている。私有財産や結婚によるベギン離れは許された。自分自身で労働して生活を営んでいた。(参照:田所辰之助他編集「世界の建築・街並みガイド4」、エクスナレッジ。)
ベギナージュは街路型、広場型、混合型があり、ブリュージュは広場型。

外からは素煉瓦の一街区が、門をくぐると、中央広場に。睡蓮が咲き乱れ、一面黄色と緑。

中庭に面しては建物ファサードが白く、他は素煉瓦肌を残す。

下界から切り離された、静かで落ち着いた空間。



ブリュージュはリングの中に街が凝縮してあり、さらにぺギンホフや集合住宅にみられるように、都市の中の小都市をつくる。コミュニティはとざされているのだけれども、建物規模でみると開かれている。建物の1階部をくりぬき、建物や道に「ゲートらしいもの」をつくり。興味を持って訪れるものを招く雰囲気がある。
上の写真はマルク広場とブルフ広場をつなぐ道。このような異世界をつなぐゲートは広場にかぎらず、ベギンホフや集合住宅にも多くみられた。