小さいこと

アメリカABCニュース5月4日ポッドキャスト配信プログラムより
「Thinking small」というトピックでLinda Kaplan Thalerが小さいことの美徳を語っていた。わたしは彼女の専門はよくしらないが、「power of small」と大きくテレビで報道した。コカコーラ、車から家までスーパーサイズがすべてとするアメリカが、ついにスモールを考えるとは! (そのわりにはでかでかと全世界放送しているが。。。)
サブプライム問題以降で社会全体が神経質になったらしい。仕事や生活で小さいことに注意することから大惨事を防げる。Eメールの送信をクリックする前に再度確認せよ、名前のスペルミスで首がとぶかもしれない。家を売ることを考える前にクローゼットを整理する。
大問題を解くには、目の前の小さな問題からと。

錯乱のニューヨークを、パーティ狂の米人がそんな風潮を受け入れるのだろうか!信じがたい。
欧米をはじめとする都市の摩天楼建設やビッグプロジェクトが一段落している状態も、トレンドである様な気がしてならない。


今日は
そんないい加減な人の話を受け売りするようで癪だが、目の前の洗濯物とオースミップ本を終わらせた。ユニクロの春Tシャツ、「dead line is over」を来てブリュッセルを散歩した。

サブロンのプチサブロン公園の2ブロック先、rue de la regence から小さい小道に入ったところにかわいらしいレンガのギャラリーを発見。16世紀ブリュッセルがスペイン支配下の時代であった時からの建物で、1階から上はリメイクしているが、16世紀の地下室が残っている。煉瓦にモルタルがたっぷりと塗られており、天井をちょっと触ると目地塗がはがれる。安土桃山時代と同じ時代と思うと感慨深い。煉瓦はスペイン煉瓦と呼ばれる、ベルギー産の赤れんがを使用。余談だが、ベルギー王室はベルギーストーンとよばれる少しグレーがかった石やブルーストーンを多く用い煉瓦をplater overすることが多い。

プチサブロン公園はスクエアに緑葉樹と鉄の柵で囲っている。中央には四角い噴水とその前には幾何学的にチューリップや低木を配置した庭園がある。


Gallery royal st.hubertを通ると、パッサージュの中央に真っ白い台に一面赤い花が!中に入ったとたん鼻からあまーい香りが。仕掛け人は KENZOでした。
香水のイベントらしい。花は実は造花でめしべに香玉が入っている。パッサージュは王とついているように19世紀に王室が建設したもの。腰壁に赤いマーブルを全体はベージュ色の大理石、ガラス天井で光がさんさんと入る。落ち着いた配色の空間のど真ん中に、真っ白な大きな台と色鮮やかな造花。度肝を抜かれた。これはほんとにいい!

その後ギャラリー内の本屋で伊島薫の”Landscape with a Corpse”にびっくりする。長谷川京子が真っ赤なドレスに黒い網タイツ、豪華な毛皮のコートをきて死んでいる。のんべい横町の電信柱横に積まれたゴミとともに転がっている姿は、矛盾しているが美しい。 きれいな女優メイクにセットされた髪、真っ赤に口紅を塗顔はつやがある。なのにみたら死んでるとわかる。
すごくきれい。大女優がディールだかドルガパやらのブランドドレスをきてのんべい横町にいるはずなんてないじゃないか、という疑問をかき消すかのようだ。夕方のほのかな赤いイルミネーションにお世辞にも清潔とは言えないゴミゴミとした横町、真っ赤なドレスを着た美女が空間全体をきゅっとひきしめている。

歴史の層がつもった都市空間にぱっとあざやかな短命で美しいものがはいると、そのもの自身と全体の両方が美しいと思うのはなぜなんだろう。