facade ≠ みせかけ

こころを亡くすと書いて、忙しい。
この一週間、こころここにあらずでした。さすがに精神衛生上よろしくないので、ひさしぶりにペンタゴン外に散歩しに一人トラム。

中心から周縁に行くにしたがい、町の雰囲気がヨーロッパの住宅街の良い雰囲気にと変わっていきます。低層住宅・少しセットバックしたファサード、1軒1軒独立した家。
地形に沿って屋根の高さが山なりになる。
建物の開口位置も道も周縁部のほうが多彩でメタルサッシや手すりの装飾がきれい。

はたとブリュッセルにきたばかりのことを思い出した。
高さ、ファサードがそろったファサードをみて「なんてきれいな街並みだろう」と感動したこと。数ヵ月後にきれいの裏側はずさんな状態だと発見したこと。そしてベルギーには見るべきものがあまりなく、みせかけのfaçadeと平凡な狭小空間だとステレオタイプのみ方をうけいれてしまったこと。

都市の中心はカオスです。それは統一する政策が打ち出される前に移民や都市問題が急激に増加し手遅れであったから。それらを隠すように昔のファサードが残されている。新規の問題が複雑に絡み合って解決しきれない。

建築内部空間が豊かになるのは、クリアランス後である。
一方で外殻は都市問題が多いほど多様になる。中心部は過剰高密度である。治安は不安定、昨日も夜中4時に叫びだす輩がいて、カフェの窓ガラスをたたき壊していった。
建築では解決できないことが山積みである。

だからこそファサードがこの町では非常に大切なのだ。